京都CDC
京都府と京都市は全国初の試みとして府市共同の地方版CDCを創設する、と令和8年10月19日に発表しました。
京都府の令和8年10月19日付の報道発表資料によりますと、京都府と京都市は新興感染症等への対応力向上を目的として「京都感染症対策センター(京都CDC)」を10月26日に共同で創設し、協定締結式を施行するそうです。
感染症対策の高度化を図るため、京都府・京都市・京都大学・そして京都府立医科大学による4者協定も締結するとのことです。
1. 京都感染症対策センターについて
目 的:新型コロナウイルス感染症対応の課題も踏まえた、来るべき新興感染症等への対応力向上
設置者:京都府、京都市
開設場所:京都府保健環境研究所及び京都市衛生環境研究所(京都市伏見区村上町 395)
事業内容:①京都大学、京都府立医科大学と連携した府域全域の感染症情報の分析・発信
②府内の医療機関等とのネットワーク構築による感染症情報の収集・共有等
2 京都感染症対策センターに関する協定締結式について
日 時:令和8年 10月 26日(月) 9:30~10:30
会 場:京都府保健環境研究所及び京都市衛生環境研究所(京都市伏見区村上町 395)
出 席 者:
京都大学 総長 立川康人 先生
京都府立医科大学 学長 夜久 均 先生
京都府知事 西脇隆俊 様
京都市長 松井孝治 様
内 容:
(1)協定締結
・京都府と京都市との「感染症対策センターに関する基本協定」
・京都府、京都市、京都大学及び京都府立医科大学との「感染症の感染拡大防止に向けた連携・協力に関する協定」
(2)記念撮影
(3)質疑応答
(4)京都感染症対策センター 看板除幕
報道によると下記の特徴を持つそうです。
- 新型コロナウイルスの経験をふまえ、大学や専門家が連携して感染症対策に取り組む。
- 米国の疾病対策センター(:CDC)を参考に、感染症の実態把握や分析、府民への情報発信、人材育成などを行う。京都大学や京都府立医科大学、感染症の検査・分析の分野に強い府内のメーカーのほか、25年4月に創設された国立健康危機管理研究機構(東京)とも連携する。
- 現在は、府と市はそれぞれの保健所が別々に情報を集めており、コロナ禍では府内全域の状況把握に時間がかかった。感染症は府県境に関係なく広がるため、京都CDCでは府外への貢献も視野に入れる。西脇隆俊知事は「京都には感染症に詳しい大学や企業など基盤がある。国立とも連携して、将来的には西日本の拠点をめざしていきたい」、松井孝治市長は「感染症は広域的に取り組むことが有効。府市連携をいっそう強化していく」としている。
都道府県と政令市がCDCを共同設置するのは初めてで、府と市の職員が中心になって、京都府立医科大学や京都大学、民間企業などの専門人材を呼び込み、常設の組織を立ち上げるそうです。国立健康危機管理研究機構とも協力して、他の都道府県にも知見を提供する計画です。
院長は厚労省の特定疾患調査研究班の事務局長を拝命していた頃は厚労省(霞が関の中央合同庁舎第5号館)によく出入りしておりました。省エネのために夏はクールビズと扇子が欠かせず、冬は室内でもコートとカイロが必要な場所でした(仕事ではもう二度と行きたくありません笑)。
ちなみに、良く聞くアメリカのCDC(疾病予防管理センター)とは、アメリカ合衆国のジョージア州アトランタにある保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所です。
公式の日本語訳はなく、日本の厚生労働省や厚生労働省検疫所が発表している文章中でも訳語は統一されていません。報道ではもっぱらCDCとして紹介されることが多いようです。
CDCは1946年に創設され、アメリカ国内・国外を問わず人々の健康と安全の保護を主導する立場にあるアメリカ合衆国連邦政府の機関で、健康に関する信頼できる情報の提供と、健康の増進が主目的です。脅威となる疾病には国内外を問わず駆けつけ、調査・対策を講じる上で主導的な役割を果たしています。
未知のウイルスや感染症などを題材にした映画・小説に登場することが多いことはご存知の通りかと思います。
実際、エボラウイルスなどバイオハザードへの対策については世界中がCDCに依存しています。また危険なウイルスの保存もしており、自然界で撲滅が確認された天然痘ウイルスを公式に保管している機関は、ここCDCとロシア国立ウイルス学・生物工学研究センターだけです。
当クリニックとして京都CDCに最も期待することは、感染症の発生状況を迅速かつ正確に把握し、科学的根拠に基づいた情報を医療現場に提供するとともに、平時から次の感染症危機に備えた実効性のある体制を構築していただくことだと考えています。
われわれのような小規模医療機関の立場からは、特に次の6点が重要です。
- 迅速で実用的な感染症情報の提供
京都府内の地域別感染動向、新興感染症の発生、病原体の特徴などについて、診療に直結する情報をタイムリーに提供してほしい。
- 科学的根拠に基づく統一された対応指針
感染症発生時に行政機関ごとに判断が異なることのないよう、検査、診断、隔離、治療、紹介などの明確な指針を示してほしい。
- 地域の医療機関への実践的支援
大規模病院だけでなく、小規模診療所や高齢者施設に対しても、感染対策に関する相談、研修、専門家による支援を提供してほしい。
- 平時からの感染症危機への備え
新型コロナウイルス感染症への対応で得られた教訓を生かし、医療資源の確保、医療機関間の連携、感染拡大時の役割分担を事前に整備してほしい。
- 行政と医療現場の双方向の情報共有
行政から一方的に通知するだけでなく、現場の医師が把握した異常や課題を迅速に集約し、対策に反映できる仕組みを構築してほしい。
- 府民への正確でわかりやすい情報発信
感染症に関する過度な不安や誤情報の拡散を防ぎ、感染リスクに応じた合理的な行動を促してほしい。
院長が特に重視したいのは、「情報を収集・分析する組織」にとどまらず、「医療現場が実際に頼れる組織」になってほしいという点です。
しかし、なにはともあれ全国に先駆けてこのような府市共同による総合的なCDCが設立されるということは、大変喜ばしいことであるとも感じています。
地理的な設置位置は伏見区のようですので、ぜひとも京都府南部においても府民に大きく益する施設へご発展いただきたいと願っております。
